順天堂大学医学部附属浦安病院小児科 高橋健先生には「POTSに対するホルター心電計を用いた心拍変動解析 ― POTSでは自律神経はどの様に変動するのか?―」をお話頂きました。

POTSの臨床研究を行う背景に、LongCOVIDの自律神経調節障害の増加、患者さんが学校に通えなくなること、先生が以前より先天性心疾患の自律神経機能を研究してきたことを教えて頂きました。

病気の主な原因は自律神経系の循環調節不全とされていますが、自律神経は構造や機能が複雑で定量評価が難しいため、どのような調節不全かは詳しくわかっていません。そのため心拍のゆらぎ(変動)を解析して定量評価することを教えて頂きました。最近のテクノロジーの進歩により、長時間測定、機器の小型化、解析方法の発達がすすみ、患者さんの交感神経・副交感神経の24時間のデータを確認できるようになりました。

POTS患者さんは健常者と比べて、起床時間帯の副交感神経が低下し交換神経が過度に優位、就寝時間帯は患者さんによって様々なケースがある(POTSのサブタイプと関連しているかもしれない)、夕方は健常者群とそれほど変わらないこと、
また自閉傾向、典型POTS、概日リズム障害では、心拍変動解析の結果の傾向が異なることを教えて頂きました。他の病気でわかったことをPOTSの病態解明に活かすという心強いお言葉を頂きました。


各講義の実施模様を順次掲載しています

【実施模様(1)】「POTS概要~500名の診療経験から得た実践アプローチと留意点~」(泉井雅史先生)
【実施模様(2)】「POTSに対する臥位エルゴメーター開発による運動療法」(石崎優子先生)
【実施模様(3)】「POTSの病型の分類とそれに基づく治療の実践」(小川禎治先生)
【実施模様(4)】「POTSの薬物療法を考える」(松浦優子先生)
【実施模様(5)】「POTSと神経発達症 ~アプローチのし方を中心に~」(多田光先生)
【実施模様(6)】「POTSに対するホルター心電計を用いた心拍変動解析 ― POTSでは自律神経はどの様に変動するのか?―」(高橋健先生)
【実施模様(7)】「心エコーで覗くPOTSの病態」(神保詩乃先生)