多田小児クリニック 多田 光 先生には「POTSと神経発達症~アプローチのし方を中心に~」をお話頂きました。
神経発達症の特に注意欠陥・多動症(ADHD)、自閉症スペクトラム症(ASD)を中心に、集団不適応が多く不登校が先行し、昼夜リズムをとりづらく、症状を語ることが得意ではないため、まわりから援助を受けにくい、という傾向を教えて頂きました。

神経発達症の20~30%はODを併存し、ODの20~30%は神経発達症を併存していると言われています。
まず大切なことは生活リズムを崩さないことで、入眠と起床の時間を一定にし、睡眠と覚醒のリズムを整え、日中活動性を維持する生活が、難しいけれども大切であると教えて頂きました。

次に加療のときに発達特性を理解した配慮が大切で、ODは生物学的機能異常と心理社会的因子の両方が関与する心身症として位置づけられており、心身症としてのODチェックリストを示して頂きました。
加療には、疾病教育、運動、学校と福祉機関の連携、睡眠の薬での調整、環境の配慮、感覚過敏への配慮、心理療法などがありますが、特に想像力の面での発達特性を考慮した伝え方が大切で、
まわりの人は、あいまいではなく具体的な対処方法を伝えること、例えば数字や順序をはっきり伝えたり、目で見てわかる伝え方、スケジュール表が有用であることを教えて頂きました。


各講義の実施模様を順次掲載しています

【実施模様(1)】「POTS概要~500名の診療経験から得た実践アプローチと留意点~」(泉井雅史先生)
【実施模様(2)】「POTSに対する臥位エルゴメーター開発による運動療法」(石崎優子先生)
【実施模様(3)】「POTSの病型の分類とそれに基づく治療の実践」(小川禎治先生)
【実施模様(4)】「POTSの薬物療法を考える」(松浦優子先生)
【実施模様(5)】「POTSと神経発達症 ~アプローチのし方を中心に~」(多田光先生)
【実施模様(6)】「POTSに対するホルター心電計を用いた心拍変動解析 ― POTSでは自律神経はどの様に変動するのか?―」(高橋健先生)
【実施模様(7)】「心エコーで覗くPOTSの病態」(神保詩乃先生)