国立病院機構災害医療センター小児科 松浦優子先生には「POTSの薬物療法を考える」をお話頂きました。

ある論文に「症状が重度で運動プログラムの開始が困難な患者様には、症状を最小限に抑えて運動プログラムを開始できるための橋渡しとして薬物療法を考慮する」と書かれています。
先生は重度の患者さんには”運動”を”日常生活”に置き換えながら、またPOTSの体内で起きている負のスパイラルを断ち切ることを考えながら、”橋渡し”を大切にしていることを教えて頂きました。

頻脈に対するお薬プロプラノロール、ビソプロロール、イバブラジンなどがどのような作用があるかを示して頂きました。心拍数は洞結節の刺激の受け方で上昇すること、心拍数は自律神経系の影響を受けない内因性心拍数も考慮すること、心拍数に影響を与える因子に、自律神経系の交感神経の緊張、副交感神経の感受性低下、βアドレナリン受容体抗体、炎症に続発、睡眠異常、HCN4変異などがあること、

そしてどのようなお薬が合うかは病態を予測しながら検討することが大切であることを教えて頂きました。


各講義の実施模様を順次掲載しています

【実施模様(1)】「POTS概要~500名の診療経験から得た実践アプローチと留意点~」(泉井雅史先生)
【実施模様(2)】「POTSに対する臥位エルゴメーター開発による運動療法」(石崎優子先生)
【実施模様(3)】「POTSの病型の分類とそれに基づく治療の実践」(小川禎治先生)
【実施模様(4)】「POTSの薬物療法を考える」(松浦優子先生)
【実施模様(5)】「POTSと神経発達症 ~アプローチのし方を中心に~」(多田光先生)
【実施模様(6)】「POTSに対するホルター心電計を用いた心拍変動解析 ― POTSでは自律神経はどの様に変動するのか?―」(高橋健先生)
【実施模様(7)】「心エコーで覗くPOTSの病態」(神保詩乃先生)