「POTSセミナー ~さまざまな原因と診療の最新動向~」では、参加者のみなさまにアンケートを行い、患者様がおかれている状況をおしえて頂きました。以下にご紹介いたします。
患者様のおかれている状況
参加者は、ご本人様が約4割、ご家族様が約5割に加え、医療・福祉関係者、学校の先生にも参加頂きました。
患者様の年齢層は、10代が約45%、20代以上が約55%で、子どもだけでなく、成人も少なくないことがわかりました。
発症からの期間は、3年未満と3年以上が概ね半分半分で、罹患期間が比較的短い患者さんも、とても長期間の患者さんもいました。
自力で外出できるおおよその頻度は、週5回以上の方は約3割に留まっていました。週3,4回が約17%、週2回以下は約56%で、日常生活に大きな支障をきたしている方がとても多いことが推察される状況です。
思い当たる発症のきっかけについては、精神的・身体的負担をはじめ、さまざまな原因で発症する可能性があると考えられる結果でした。
参加者のみなさまからの声
理解について
まだまだ知られていない病気で、理解して頂けないことが多いです。
医師でさえ、思い込み、気のせいと言います。苦しんでいる患者さんが多いと思います。
お医者さんにもご理解頂き、普及啓発がもっと進み、受け入れられる社会になることを願います。
10代患者さまご家族
思春期に発症し、成人して治ると思いましたが、重症になってしまい長年闘病している者です。
POTSは思春期特有の病気ではなく、成人してもなかなか治らない方もいること、成人してから発症する方もいること、重症では生きることが困難になることを多くの医療従事者、特に医師に知ってもらいたいです。
30代患者さま
POTSを研究して下さり感謝しています。7人目の医師で診断にたどり着きました。
それまでは精神的や起立性低血圧と言われました。
せめて総合病院の医師は知っていてほしいと思いました。
もっと多くの医師、多くの方に知ってもらいたいです。
医療従事者・患者さま
世間一般の自律神経のイメージから、この病気が過小評価されてしまうことが少なくありません。
立っているのが辛いなら車椅子を使えばいい、という簡単なものではありません。
在宅勤務やオンライン授業が増えてきた今も、就労・就学不能で、日常生活がままならない重症患者さんが多くいます。
現状を多くの方に知って頂き、理解や支援につながると嬉しいです。
20代患者さま
私は病院に勤めていますが、POTSという病気自体を知っている人は、周りに1人もいません。
しかし医療職なので、立ち上がるだけで脈拍が60回台→160回台に上がり、横になると40回台に一気に下がることがどれだけ異常でしんどいことか、理解してくれています。
同じように理解のある職場・学校・人が増え、患者が少しでも生活しやすくなることを祈っています。
20代患者さま
自身の病気について、正しい知識を身につけ理解することが、自立への第一歩と感じています。
セミナーを開催いただき、情報を得やすくなっています。ありがとうございます。
20代患者さま
障害者手帳を取得し、最大限の環境調整(送迎・テレワークなど)で働いています。
症状が軽くなったものではありませんが、働けるなら軽症、と誤解されることが多いです(症状は続いており、日常生活に対する支援が要ることを知って頂きたいです)
20代患者さま
今年で罹患14年目です。何年経っても病状が変わらず、日常生活・社会生活はボロボロなまま、年齢だけが重なっています。
運動不足やネガティブな考え方だけで、発病したり治りづらくなると思われている風潮に、うんざりしています。子どもの頃に治せていない=本人の生活習慣や意識に欠陥がある、と認識されます。
それで治る・改善するパターンも多いのでしょうが、当てはまらないケースがあることを、もっと知って頂きたいです。近隣では医療関係の方々にすら、POTSが伝わらないことが多いです。遠方の病院を新幹線で受診しています。辿り着くだけで大変です。遠方受診すると、病院でも薬局でもすぐに伝わり、薬局で薬剤師さんが「お席までお持ちしますよ!」と仰って下さり、驚きました。地元では、どんなに具合が悪くても、病名・症状を伝えても、理解ある対応を頂いたことがありません。認知・理解の差を痛感しています。家族は引越しなどの大層なことを考えておらず、単身暮らしも困難で、身体も生活も手詰まりです。
治る日が来ると思っていましたが、ずっと治らず、治ったら出来ると思っていたことは全て諦めないといけないのか、これからもずっとこの暮らしを続けるしかないのか、と思い始め、心身・生活共に、いま目の前のことを考えても、先のことを考えても真っ暗闇に感じます。
もう少しだけでも元気になって、人並みに近い生活、活動がしたい、ずっとそれだけが願いです。
20代患者さま
医療・支援について
「自律神経障害→自律神経失調症→精神科疾患である」と強く思い込んでいる医療者が多く、精神科を受診せざるを得ない状況に至る患者さんが多いことに、歯がゆさを感じています。
今回、患者・患者家族として学ぶ内容が、類似疾患に苦しむ方の支えになれればと思います。
医療従事者・患者さま
身体科で異常なしの判定で、心因性として片付けられがちな疾患なので、身体疾患の要素(自己抗体など)の周知をすすめて頂きたいです。
医療従事者さま
ODを診療するとしているクリニックや有名病院でも,漢方薬とミドトリンを処方して終わり、というところが多いです。
辛いと訴えると精神科に回されてしまう。きちんとした対応を切望しています。
10代患者さまご家族
まだまだ診ていただける医師、医療機関が少ないと感じています。自分の地元でも啓発したいと思います。
地元の北海道でPOTSや自律神経障害を診ている医師、医療機関と連携したいと思っています。
40代患者さま
POTSを知らない人、聞いたことはあっても詳しくない人が多い(私自身も)と思いますので、まずは自分が詳しくなることを目標にしています。
医療・福祉関係者さま
学校でどのようなサポートがあれば、患児達が無理し過ぎず、自己肯定感を持てるか、サポート・合理的配慮について考えたり、
患児達を含めて、学校のみんなで本や資料を読みながら、主治医の先生のご指導の元、あれこれ試しています。
学校関係者さま
アドバイスの声
起立性調節障害(POTS)重症と診断され、メトリジン、水分塩分、漢方薬で効果が無く、1年間ほぼ寝たきりでしたが、鉄とタンパク質を意識的に摂ると、フェリチンの値が大きく上がり、劇的に良くなりました。
頭痛や立ちくらみが無くなり、1日1万歩の歩行や、連続の外出をできるようになりました。お肉が嫌いでしたが、いまは朝からお肉を食べ、プロテインを飲んでいます。よかったら試して頂きたいです。
10代患者さまご家族
闘病生活では精神的にも不安定になり、多くの葛藤を経験しましたが、今になって思う事は、どんなに小さなことでも良いので、続けることの大切さです。
確実にできそうな事でも続けると、自信につながると思います。
自分の評価を下げてしまいがちなので「できた」という達成感を得ることが前進のきっかけになると思います。
20代患者さま
私はフルタイムで働いているPOTS患者です。
社会復帰をめざす上で、周り(特に上司)の理解がどうしても必要になると思います。
患者さんも周りの方も、最初は大きなエネルギーが要り、またお互いの理解や尊重が大切です。
なかなか難しいですが、一人一人にとっての普通を手に入れることをあきらめないで欲しいです。
30代患者さま
POTSセミナーやさまざまな活動・働きかけを通じ、病気が正しく理解され、お一人お一人の適切な診療や支援につながることを願っております。
■ 過去のセミナーの実施模様・アンケート結果 |