2023年2月26日(日)「起立不耐症・起立性調節障害セミナー2023 ~重症例・難治例の理解と診療の最新動向~」を開催し、約130名の方にご参加頂きました。
東京女子医科大学附属足立医療センター 内科・リハビリテーション科の佐藤 恭子先生、国立病院機構 災害医療センター 小児科の松浦 優子 先生、ミワ内科クリニック 院長の三羽 邦久 先生にご講演頂きました。
起立不耐症・起立性調節障害セミナー2023の実施模様


佐藤恭子先生からは「起立不耐症の知識と最新の動向」についてお話頂きました。起立不耐をきたす疾患や、それらがオーバーラップする場合があること、体位性頻脈症候群(POTS)の概要や受診状況、症状や診断基準、これまでの知見、脳幹の自律神経中枢での内臓機能の調整について、病態サブタイプ、非薬物療法(水分・塩分、疲れる前に休む、足からウエストまでの弾性ストッキング、ダイナミックリラクゼーション運動、ゆる体操、呼吸法、軽い負荷からの有酸素運動など)、薬物療法、さらにLong COVIDについても教えて頂きました。
この疾患の課題として、患者の生活を著しく障害し、病態生理が解明されておらず社会の認知度が低いこと、罹患年齢が最も活動的・生産的な年齢であることもお話頂きました。
佐藤先生の講義の画像1
佐藤先生の講義の画像2


松浦優子先生からは「小児の起立不耐症の傾向と対策」についてお話頂きました。小児の起立不耐症の病態、自律神経の役割、症状、コロナ禍での受診状況や経過について教えて頂きました。とくに起立不耐症が疑われる場合の診断までの検査や経過の確認、さまざまな治療方法、デコンディショニングを防ぐ方法、睡眠の改善について、ていねいにご説明頂きました。
患者さんへのメッセージに加え、家族や学校の理解がとても大切であることもお話頂きました。
松浦先生の講義の画像1
松浦先生の講義の画像2


三羽邦久先生からは「筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群(ME/CFS)と起立不耐症」についてお話頂きました。ME/CFSはどのような病気か、ME/CFSの循環器異常による起立不耐症に加え、起立不耐症と平衡機能障害(神経学的異常)や、新たな治療としてrTMSやミノマイシンについて、動画をつかって治療の前後の変化をわかりやすくご説明頂きました。
ME/CFSの課題として医師が知らず、心の病と誤解されることが多いが、この病気は身体疾患で、長期的な支援・介入や、社会全体での啓発・教育が必要であることもお話頂きました。
三羽先生の講義の画像1
三羽先生の講義の画像2


またPOTS and Dysautonomia Japanから「療養のヒント」として、起立不耐症の症状変動、自律神経症状、ブレインフォグがどのようなものかや、工夫・対策をお話しました。大学・就労のバックアッププランについても触れさせて頂きました。
療養のヒントの画像1
療養のヒントの画像2


質疑応答は、事前に参加者のみなさまから多くの質問を頂き、POTS and Dysautonomia Japanのスタッフで整理し、当日に先生方からお答え頂く形ですすめました。治療や日常生活の工夫で気がかりなことや、診療を得たり予後などのむずかしさなどについて、お答えを頂きました。


加えて、参加者アンケートや、参加者の声も共有させて頂きました。


POTS and Dysautonomia Japanは、起立不耐症・起立性調節障害でお困りの方が、正しく理解され、お一人お一人の適切な診療・支援につながるように、これからも取り組んでまいります。
先生方、参加者の皆様、ご支援・ご協力を下さった皆様に心より御礼申し上げます。


過去のセミナー・講演会(実施模様/アンケート結果・参加者の声)