Voice#02 病気と仕事 Bさんのケース

起立不耐症・起立性調節障害の患者様にとって、将来の就労に関する情報が少ないというお声を受け、患者様の事例を紹介させて頂きます。就労イメージの一助になれば幸いです。

私は14歳の頃に側弯症と診断された以外は健康で、吹奏楽部で青春を明け暮れる普通の元気な子供でした。

看護師として働きはじめ、夜勤をしながらフェスやライブや旅行など、ほとんど家にいないほど自分が楽しみたいことに活発に動いていました。看護師14年目で側弯症手術を経験し、手術から2年後のやっと日常を取り戻してきた頃に、突然強い眩暈に襲われました。

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初めは休むことで回復していましたが、徐々にブレインフォグや倦怠感、光や音が過敏となったり、夕方からしか行動できなくなるなど、いろんな症状が重なっていきました。休んでは回復し、仕事に復帰すれば悪化し、復帰と休職を繰り返しました。

パソコンのスクロールでも眩暈が強くなり、患者さんの情報をパソコンで集める業務が以前のようにはできなくなりました。比較的ゆっくりした職場でも、秒単位でくる複数の選択や決断に頭の処理が追いつけず、多重業務が難しくなっていると痛感し、患者さんの安全を守れないと思い、退職しました。


私は立つときに支えがないと、痛みが強くなり数分も保てません。ただ、薬を開始してから午前中に起きれるようになり、ブレインフォグも以前より良くなりました。低気圧や新月の前や体調不良時には症状が悪化しますが、以前苦手になっていたメールの言葉の組み立てや、人との何気ない会話についていけるようになりました。

退職して1年半後に再就職し、現在は午後のみで週5時間、急な体調不良もあることを理解していただきながら、重症児の放課後デイサービスに勤めています。
勤務数を増やしてみるなど試行錯誤していますが、増やすと体調が悪化するため、ペースは週一回にしています。

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また、体を動かさなくてもできる仕事はないだろうかとチャレンジし、インタビュー音源を文字に起こす仕事を、友人から時々頂いています。
それから、体を動かさなければ看護師なんてできないと諦めていましたが、最近は体が動かなくても看護はできると思考を変えて、こころのケアができないかと、公認心理師の勉強と国家試験にも挑みました。

公認心理師になるための講習は、以前は都会に行って講義をうけるのが基本でしたが、コロナ禍によりオンラインとなったことで、自分のペースで講義をうけられ受験することができました。残念ながら初回は不合格でしたが、受験に至る勉強で、自分が面白いと思えることや新たな知識も知ることができ、良い経験になりました。

右往左往しながら日々を過ごしていますが、楽しみながら、面白く生きていくために何ができるかを模索してます。無理をすると悪くなるのでからだの声を聞きながら、今できることを一生懸命に楽しんで過ごしていこうと思います。


Voice#01 病気と仕事 Aさんのケース