【実施模様4】はじめての障害年金(早川靖雄先生)
あとり社会保険労務士事務所の早川靖雄先生に「はじめての障害年金」を講義頂きました。
早川先生は、製薬企業の業務経験を経て社会保険労務士になられた先生で、経験を活かして希少難病、筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群、線維筋痛症などの相談実績をお持ちです。
本セミナーでは、まず公的年金の制度とは何か、「国民年金」「厚生年金」という加入の仕組み、「老齢年金」「遺族年金」「障害年金」という支給の種類を教えて頂きました。
そして障害年金は、病気やケガにより日常生活や就労に支障がある場合の社会保障制度であり、「障害基礎年金」「障害厚生年金」があること、原則は病気の種類によらず受給対象になります(一部に例外あり)
申請には、1.日常生活や就労に制限があること、2.初診日に年金加入中であること、3.保険料の納付要件を満たしている、の3つが揃っている必要があります。
1に関連して障害等級を示して頂きました。そして身体障害者手帳の等級とは連動していないとのことでした。(法律、基準が異なるため)
2の「初診日」とは、症状が出て最初に医療機関で診療を受けた日です。初診日に加入していた年金制度が適用されます。なお初診日が20歳より前の場合は年金に加入していなくても障害基礎年金を申請できることを教えて頂きました。
請求方法には主に「障害認定日請求」と「事後重症請求」があります。
「障害認定日請求」:原則は初診日から1年6か月を経過した日(障害認定日)に、障害の程度が等級に該当している場合、障害認定日以降に請求できます。初診日が18歳6か月以前の場合、20歳の誕生日が障害認定日となります。
「事後重症請求」:障害認定日の時点で障害等級に該当しなかったが、その後、状態が悪化して障害等級に該当する場合に請求できます。65歳になるまで請求可能です。
請求方法を考える際、まず障害認定日請求が可能かを確認し、難しい場合に事後重症請求を考えることが多いとのことでした。
請求の準備のなかで、特に「受信状況等 証明書」は、初診日にかかった医療機関に作成を依頼するもので、初診日は大切です。特に初診日が何年も前だったり、閉院している場合、専門家への相談をおすすめしています。
また年金専用の「診断書」は8種類から適切なものを選び、主治医に作成を依頼するもので、診断書は重要です。ちょうどよい診断書がない場合は「その他」の診断書を用います。
加えて「病歴・就労状況等 申立書」は申請者が記入するので、感情的な表現を避けるなど、さまざまなアドバイスを頂きました。
まとめでは、障害年金は公的な社会保障制度であり、受給できると経済的な不安がやわらぐこと、
自分や家族が対象か、よくわからない場合は、年金事務所や社会保険労務士に相談すること、
初診日の証明がむずかしい場合や、納付要件が微妙な場合などは、社会保険労務士に相談するように教えて頂きました。
*質疑では、どのような社会保険労務士に相談するとよいか、という相談がありました。障害年金を得意とする先生は、社会保険労務士の全体のなかでは少ないこと、また他県の社会保険労務士でも対応できるので、地元にこだわらずに障害年金をよく知っている先生に相談するとよいことを教えて頂きました。
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