POTSにおける抗ムスカリン性アセチルコリン受容体抗体の研究について(1)

本研究は国際自律神経障害の会(Dysautonomia International)のメディカルアドバイザリーボード(医療諮問委員)である、スティーブン・ヴェルニーノ博士が中心となり進めているものです。ヴェルニーノ博士はテキサス州ダラスにあるUTサウスウェスタン・メディカルセンターの神経治療学部の教授で、Bob&Jean Smith財団による神経筋疾患の研究プロジェクトで議長を務める著名な医師です。今回の研究の意義について、ヴェルニーノ博士は次のように説明しています。「POTS(体位性頻脈症候群)の患者の中に、自律神経機能に影響を与えるような特定の抗体を保有している患者がいるかを調査します。それらの抗体を調べることにより、シェーグレン症候群のような他の自己免疫疾患とPOTSとの関連性も特定することができると考えています。」

ムスカリン受容体は副交感神経系の一部です。抗体がこの受容体に結合すると、副交感神経の神経伝達に不調をきたすことがあり、自律神経障害の症状が現れると考えられます。抗ムスカリン受容体抗体は以前からシャーガス病やシェーグレン症候群、突発性頻脈などの自己免疫系の他の自律神経障害との関連性が知られています。

今回計画されている研究の予備調査において、ヴェルニーノ博士の研究チームが16人のPOTS患者と20人の対照患者を調査したところ、POTS患者の87%以上が1種類以上の抗ムスカリン性抗体を保有していました。この研究チームは、M1受容体と認知障害(ブレインフォグ)との関連、M3受容体はQSART試験(定量的軸索反射性発汗試験:四肢の末梢神経(小径線維)に関する自律神経機能を測定するテスト)における異常値との関連も発見しました。これから行われる本調査では、より多くのPOTS患者について大規模調査を行い、抗ムスカリン抗体の測定方法を改善して、上記の発見を実証したいと考えています。

特定の抗体を持つPOTS患者が患者全体の何%程度いるのかを特定し、各抗体の特性と患者の症状を比較していくことは、これらの抗体がPOTS患者にどのような影響を与えるのかを知るための第一歩です。そしてその成果は、将来新しい治療法を確立するための研究の基盤となります。

参考
Muscarinic Antibody Research Study in POTS external-link-symbol Dysautonomia International

⇒POTSにおける抗ムスカリン性アセチルコリン受容体抗体の研究について(2)につづく