POTSの治療

POTSはまだ原因や病態が十分に解明されておらず、治療方法が確立していません。
症状を抑える治療は以下のように検討されていますが、POTSにはさまざまな病態があると考えられており、主治医と一人一人の患者さんが相談しながら、合う治療をさがすことになります。治療方法の確立、支援体制の確立が急務です。


非薬物療法

[ご注意]合う治療方法は患者さんによって異なります。主治医と患者さんが相談しながらすすめてください。合わない方法を無理に続けないようにお願いします。

POTSを悪化させるお薬の中止 1

水分・塩分摂取 1

・方法:水分を2~3リットル/日。NaClを10g程度/日。
・効果:循環血液量を増やす。
・副作用:頻尿、高血圧、末梢浮腫。
・補足:日本の食事は塩分多めなので、日々の食事・飲料で(極端にならない程度に)補う形が良いと考えられます。

下半身の着圧ウエア 1,2

・方法:着圧ストッキング(腹部から足先までのタイプ)、着圧スパッツ(腹部から太ももまでのタイプ)、腹部ベルトなど。締め付けが20~40mmHg。
・効果:静脈貯留を減らす。
・副作用:暑さ、締め付け感、かゆみ。
・補足:血行不良にならない程度とし、就寝時は外します。不快な症状が出る方は無理しないようにお願いします。

運動療法 1,3

・方法:下肢のレジスタンストレーニングを含む有酸素運動(サイクリングタイプなど)を、臥位や半臥位で開始。30分程度/日、3~4回/週。
・効果:デコンディショニングへの対応、ウェルビーイング、QOL向上。
・副作用:最初の4-6週間程度に、悪化や効かないと感じることがある。
・補足:出来ない方(症状が重い方、ME/CFSを合併している方など)は無理せず、臥位でできる「ゆる体操」、ダイナミックリラクゼーション運動、まだ大丈夫と思える程度のリハビリなどをご検討お願いします。


薬物療法

[ご注意]合うお薬は患者さんによって異なります。用量・用法は、医師・薬剤師の指示に従ってください。気になる症状が現れた場合などは、医師・薬剤師に相談してください。

心拍数低下

プロプラノロール(インデラル)1,4

・アドレナリンβ受容体遮断薬。心拍数を下げる。
・10-20mg 1日4回まで
・副作用:低血圧、徐脈、気管支けいれん(喘息の悪化)
・注意:喘息の悪化や運動不耐。

ビソプロロール(メインテート)1,5

・β1選択性アドレナリン受容体遮断薬も、プロプラノロールと同等の効果があるとの報告がある。
・2.5-5mg 1日1回

イバブラジン(コララン)1,4

・HCNチャネル遮断薬
・2.5-7.5mg 1日2回
・副作用:頭痛、動悸、高血圧、徐脈、視覚の障害

ピリドスチグミン(メスチノン)1,4,6

・自律神経節や末梢のムスカリン受容体のアセチルコリンを増やし、心拍数を下げられる場合がある。
・30-60mg 1日3回まで
・副作用:腹部の痛み・痙攣、下痢、吐き気、頻尿
・注意:喘息の悪化


血管収縮薬

ミドドリン(メトリジン)1,4

・アドレナリンα1受容体作動薬。血管収縮、静脈還流量の改善により頻脈を抑えられる場合がある。
・2.5-10mg 1日3回
・副作用:頭痛、頭皮の痛み、高血圧
・注意:臥位高血圧の防止のため、就寝前4時間は使用しない


血液量増加

フルドロコルチゾン(フロリネフ)1,4

・腎臓のナトリウム再吸収による血液量増加を促す。
・0.1-0.2mg 1日1回
・副作用:低ナトリウム血症、浮腫
・注意:血清カリウム値をモニターすること

デスモプレシン(ミニリンメルト)1,4

・腎臓の水分保持による血液量増加を促す。
・0.1-0.2mg 1日1回 必要に応じて
・副作用:低ナトリウム血症、浮腫
・注意:慢性的に使用する場合は、血清カリウム値をモニターすること

生理食塩水の末梢静脈点滴 1,7

・1-2Lを1-2時間以上かけて投与。週1回など間欠的に。
・注意:長期投与、中心静脈カテーテル留置は推奨されていない(胃腸症状が重く経口摂取が難しいなどの例外を除く)


交感神経遮断薬

メチルドパ(アルドメット)1,4

・高アドレナリンPOTSで要する場合がある。
・125-250mg 1日2回
・副作用:低血圧、疲労感、ブレインフォグ
・注意:少量から開始

クロニジン(カタプレス)1,4

・高アドレナリンPOTSで要する場合がある。
・0.1-0.2mg 1日2-3回
・副作用:低血圧、疲労感、ブレインフォグ
・注意:少量から開始


その他

モダフィニル(モディオダール)1,6

・体位性頻脈の疲労感やブレインフォッグに効くと考えらえている。
・50-200mg 1日1-2回
・副作用:多くの患者で心拍数はわずかに上がる。


その他の療法

[注]合う治療方法は患者さんによって異なります。合わない方法を無理に続けないようにお願いします。

漢方薬

補中益気湯、半夏白朮天麻湯、五苓散、真武湯などの漢方薬が効くことがあります。
ツムラ external-link-symbol
薬日本堂 external-link-symbol

EAT治療(Bスポット治療)(病巣疾患研究会)external-link-symbol

全身倦怠感、頭痛、頸部痛、ブレインフォグなどに効くことがあります。

整形外科枕(山田朱織枕研究所)external-link-symbol

頭痛・頚部痛・肩こりの強い患者さまにおすすめします。5mm毎に高さを調整できるので購入後も自分で微調整することができます。

竹踏み(ボツボツのないシンプルなもの。Amazonのページにリンクします)external-link-symbol

運動療法が難しい症状の方におすすめします。自宅で簡単に血液循環を良くすることができます。


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最終更新日:2022年5月22日